舌苔の原因とは?口臭・味覚異常を防ぐ正しいケア方法を解説

舌の表面に付着する白や黄色の汚れ「舌苔」は、細菌や食べかす、剥がれた粘膜などが集まってできるものです。
唾液の減少や口呼吸、ストレス、生活習慣の乱れによって増えやすく、放置すると口臭や味覚の違和感につながることもあります。
ただし、強くこすればよいわけではありません。
本記事では、舌苔ができる原因や体への影響、舌を傷つけない正しい取り方、歯科医院で受けられるケアまで解説します。
舌の白さや口臭が気になる方は、ケアを見直す参考にしてください。
舌苔ができる主な原因7つ
舌苔が増える背景には、加齢による唾液の減少や口呼吸、ストレスなど、口内を乾燥させる複数の要因があります。
これらが重なると細菌や古い細胞が洗い流されにくくなり、舌の白さや厚みが目立ってしまいます。
舌苔が発生する原因は、以下の通りです。
- 加齢による唾液分泌の低下
- 口呼吸による口腔内の乾燥
- ストレスや疲労の蓄積
- 水分摂取量の不足
- やわらかい食事や咀嚼不足
- ホルモンバランスの乱れ
- 服用中の薬による副作用
以下では、それぞれに応じた対策も順番に解説します。
加齢による唾液分泌の低下
年齢を重ねると唾液腺の働きや口周りの筋力が低下しやすく、食べかすや細菌を洗い流す唾液が減ることで、舌の表面に白い舌苔が残りやすくなり、口臭や飲み込みにくさを感じる場合もあります。
なお、口の乾きが続く場合は、食事をよく噛む、少量の水をこまめに飲む、会話や口腔体操で口を動かす習慣を取り入れることが大切です。
急な乾燥や痛みがあるときは歯科医院などへ相談するとともに、入れ歯の不具合や飲み込みにくさも受診時に必ず併せて伝えましょう。
口呼吸による口腔内の乾燥
口呼吸が続くと唾液が舌全体に行き渡りにくくなり、舌表面の細菌や食べかすが自然に洗い流されず、舌苔の厚みや口臭が目立ちやすくなるほか、起床時の粘つきや喉の乾燥も感じやすくなります。
また、鼻づまりや花粉症、いびきがある方は原因への対処を優先し、室内の加湿や水分補給を取り入れ、就寝時の口閉じテープは鼻の通りや体調を確認しましょう。
なお、睡眠の質にも影響するため、無理に使わず、呼吸の原因を整えることが舌苔の再発予防にもつながります。
ストレスや疲労の蓄積
強いストレスや疲労が続くと自律神経のバランスが乱れ、唾液の分泌が減ることで口内が乾燥し、舌苔に含まれる細菌や汚れが増えやすくなり、口臭や舌の粘つきが目立つ場合があります。
したがって、忙しい時期に舌の白さが増えたと感じる場合は、睡眠時間を確保し、食事や入浴、軽い運動などで休息の質を整えることが欠かせません。
また、口の乾きが長く続くときは、体調不良や薬の影響も含めて確認し、無理を重ねず、まずは十分な休息と心身の回復を優先することも大切です。
水分摂取量の不足
水分摂取量が少ないと体内の水分が不足し、唾液の分泌が減って舌の表面が乾燥するため、細菌や古い細胞が付着して舌苔が厚くなり、口臭や口内の粘つきにつながりやすいでしょう。
なお、必要な量は体格や気温、運動量、持病によって異なります。
そのため、一律の目安にこだわらず、起床後や食事の合間などに少量ずつ水を飲み、強い口渇や脱水症状がある場合は医療機関への相談が必要です。
尿量や発汗の変化にも、十分に気を配りながら調整しましょう。
やわらかい食事や咀嚼不足
やわらかい食品に偏って噛む回数が減ると、唾液の分泌や舌の動きが少なくなり、舌表面に付着した食べかすや細菌が自然に落ちにくくなるため、舌苔の厚みや口臭が目立つ場合があります。
たとえば、根菜や葉物野菜など適度に噛み応えのある食材を無理のない範囲で取り入れ、1口ごとに丁寧に噛む習慣を意識してください。
ただし、早食いを避けることは、消化や口内環境の維持にも役立ちますが、歯やあごに不調がある場合は食材の硬さを無理に上げすぎないでください。
ホルモンバランスの乱れ
月経周期、妊娠、更年期などのホルモン変化は口腔乾燥に関係し、結果として舌の汚れが目立つ場合があります。
そのため、十分な睡眠と規則的な食事を心がけ、乾燥が気になるときは水分補給や口腔用の保湿剤を取り入れましょう。
なお、舌の痛みや強い乾燥、ほかの体調変化が続く場合は、婦人科や歯科、内科へ相談し、その症状が出る時期も日々記録しておくと受診時の説明にも役立ちます。
服用中の薬による副作用
降圧薬や抗うつ薬、抗アレルギー薬などの中には、唾液の分泌を抑えて口を乾燥させ、舌苔が付着しやすい状態を招くものがあり、飲み始めてから舌の白さが増える場合もあります。
なお、抗菌薬の使用後に口内の菌バランスが変わり、舌苔が厚くなることもあるでしょう。
そのため、薬は自己判断で中止せず、水分補給と優しい舌ケアを続けてください。
症状が長引くときは医師や薬剤師へ相談し、服用開始時期と症状の変化を記録しておくと医師に症状の経過をより伝えやすくなります。
舌苔を放置するリスクと体への影響
舌苔を長期間放置すると、細菌が増えて口臭が強くなったり、舌の表面が覆われて味を感じにくくなったりする可能性があります。
特に高齢者や飲み込む力が低下している方では、口内細菌を誤って気管へ入れる危険にも注意が必要です。
舌苔を放置すると、以下のようなリスクが生じます。
- 口臭の悪化を招く仕組み
- 味覚障害を引き起こす可能性
- 誤嚥性肺炎など全身疾患との関連
- 消化器トラブルや口腔がんとの関係
以下では、それぞれの詳しい内容を解説します。
口臭の悪化を招く仕組み
舌苔に含まれる細菌は、食べかすや剥がれた細胞のたんぱく質を分解する際に、揮発性硫黄化合物などの臭い成分を生み出し、口臭を強める原因になります。
また、厚生労働省のe-ヘルスネットによると、口臭の原因の87%は口の中にあるとされており、歯磨きに加えて舌を清潔に保つことも推奨されています。
舌の表面には細かな凹凸が多く、唾液が少ないと汚れが乾いて残りやすいため、歯磨きだけでは十分に落とせず、舌ブラシを使った優しい清掃や水分補給を続けることが大切です。
ただし、磨きすぎには注意し、歯や歯ぐきの汚れも臭いに関係するため、口全体を日頃から清潔な状態に保つことも忘れないでください。
口臭の原因は、87%が口の中にあることが明らかにされています。口の中にいる嫌気性菌という種類の細菌が、タンパク質やアミノ酸を分解して揮発性硫黄化合物(VSC: Volatile Sulfur Compounds)という物質を作ります。これが口臭の主たる原因物質です。
(引用元:厚生労働省『健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~』)
味覚障害を引き起こす可能性
厚い舌苔があると、味を感じる味蕾の周囲が汚れで覆われ、味を感じにくいことがあります。
また、口の乾燥や舌の炎症が重なると、舌全体の感覚が鈍くなり、食欲にも影響します。
舌苔を優しく清掃して口内を潤しても味覚の異常が続くときは、自己判断せず歯科や耳鼻咽喉科へ相談しましょう。
なお、味覚低下には薬や感染症など別の原因もあるため、舌苔だけに決して安易に原因を求めないことが大切です。
誤嚥性肺炎など全身疾患との関連
舌苔には多くの細菌が含まれるため、飲み込む力が低下した高齢者や療養中の方では、唾液とともに細菌が気管へ入り、誤嚥性肺炎につながる危険があります。
口腔全体の清潔を保つことは、誤嚥性肺炎のリスク低減に役立つとされています。
そのため、歯や歯ぐき、入れ歯も含めて清潔を保ち、むせや発熱が見られるときは早めに受診しましょう。
なお、日常的にむせる方は飲み込みの状態も確認し、症状に応じてできるだけ早めに専門職へ相談してください。
消化器トラブルや口腔がんとの関係
舌苔の変化だけで胃腸の病気や口腔がんを判断することはできませんが、体調不良や食事量の低下、口の乾燥が重なると、舌の色や厚みが変わる場合があります。
特に、白い部分がこすっても取れない、一部だけ硬くなる、しこりや痛み、出血が2週間以上続くときは、単なる舌苔ではない可能性も否定できません。
そのため、早めに歯科や口腔外科で確認するとともに、変化した部分を写真で記録しておくと、受診時に詳しい経過をより具体的に伝えやすくなるでしょう。
舌苔の正しい取り方とセルフケアの基本
舌苔は、柔らかい舌ブラシや舌クリーナーを使い、舌の奥から手前へ軽く動かして落とすことが基本ですが、白さを完全になくす必要はありません。
強くこすったり1日に何度も磨いたりすると、粘膜を傷つけて炎症や痛みを招くため、量を見ながら優しく続けることが大切です。
舌苔のケア方法については、以下を参考にしてみてください。
- 舌ブラシ・舌クリーナーの選び方
- 舌磨きの適切な頻度とタイミング
- 傷つけない磨き方の手順
- 乾燥してこびりついた舌苔への対処
以下で、内容を詳しく解説します。
舌ブラシ・舌クリーナーの選び方
舌ブラシや舌クリーナーは、舌を傷つけにくく、使用方法が明確な舌清掃具を選び、弱い力で使用してください。
金属製は汚れを取りやすい一方、力加減を誤ると刺激が強くなるため、初めて使う方は樹脂製や柔らかなブラシが扱いやすいでしょう。
また、交換時期や手入れ方法も確認し、清潔な状態で使い続けることが大切です。
表示された使用方法と交換時期を守り、使用後は洗って乾燥させ、衛生的に管理しましょう。
舌磨きの適切な頻度とタイミング
舌磨きは1日1回を目安に、睡眠中に細菌や汚れが増えやすい朝の歯磨き前後に行うと、口臭や不快感を抑えやすくなります。
舌苔が気になるからと何度も磨くと、舌乳頭や粘膜を傷つけて痛みや味覚の違和感を招くおそれがあります。
そのため、汚れを完全に取り切ろうとせず、舌が赤い、しみる、出血する場合は磨くのを休むことが大切です。
朝に時間が取れない場合も、体調や舌の状態に合わせ、無理に急いで強く磨かず、落ち着いてケアできる時間を選びましょう。
傷つけない磨き方の手順
舌を傷つけずに磨くには、舌ブラシを水で湿らせて舌の奥に軽く当て、息を吐きながら弱い力で必要最小限にとどめてください。
強く押しつける、左右へ何度もこする、取れない部分を繰り返し磨く行為は粘膜を傷める原因になります。
そのため、一度で白さをなくそうとせず、痛みや出血がない範囲で少しずつ整えることが大切です。
さらに、ブラシは使用後によく洗ってしっかり乾燥させ、家族間で共有しないようにしてください。
乾燥してこびりついた舌苔への対処
乾燥して硬くなった舌苔は、無理にこすると粘膜を傷つけるため、先に水やぬるま湯でうがいをして舌の表面を湿らせ、柔らかくしてから優しく清掃してください。
一度で落ちない場合は繰り返し磨かず、水分補給や室内の加湿、よく噛む食事で口内の乾燥を整えながら数日かけてケアしましょう。
なお、痛みや出血、白い部分が残る場合は歯科医院へ相談が必要です。
口腔用保湿剤を使う場合は、対象年齢や使用方法を確認して適量を必ず正しく守りましょう。
歯科医院で受けられる専門的な舌苔ケア
歯科医院では、舌苔の厚みや舌の粘膜、歯周病、虫歯、入れ歯、口の乾燥などを確認し、原因に合わせた清掃方法や生活上の注意点について指導を受けられます。
自宅で磨いても改善しない場合は、感染症や粘膜の病変が隠れていないかを見分けることも重要です。
以下では、専門的なクリーニングの内容と、歯科医院や口腔外科への受診を検討する目安を解説します。
プロによる舌クリーニングの内容
歯科医院では、舌の状態を確認したうえで、柔らかな専用器具を使って舌苔を無理なく清掃し、必要に応じて歯や歯ぐき、入れ歯も含めた口腔ケアを行います。
なお、すべての医院で同じ処置を受けられるとは限らず、強い薬剤で舌苔を完全に除去することが目的でもありません。
また、清掃後は舌を傷つけない道具の選び方や磨く頻度について指導を受けます。
処置内容や費用は医院によって異なるため、予約時に内容をあらかじめ十分に確認しておくと安心でしょう。
セルフケアで改善しない場合の受診目安
舌苔が改善しない場合に加え、こすっても取れない白斑、しこり、出血、強い痛み等がある場合は早めに受診してください。
こすっても取れない白斑は舌苔ではなく、口腔カンジダ症や粘膜疾患などの可能性もあります。
ただし、発熱や飲み込みづらさがあるときは、早めに医療機関へ相談することが重要です。
持病や服用中の薬がある場合は、お薬手帳を持参して医師へ伝えると診断時の情報として役立ちます。
まとめ:舌苔の原因と正しいケアで口臭・味覚異常を防ごう
舌苔は、細菌や食べかす、剥がれた粘膜などが舌の表面に付着してでき、唾液の減少や口呼吸、水分不足、ストレス、薬の影響などで増えやすくなります。
また、厚くたまると口臭や味覚の違和感につながるため、柔らかい舌ブラシを使い、1日1回を目安に奥から手前へ優しく清掃しましょう。
なお、強くこすると舌を傷つけるおそれがあるため、日々の水分補給やよく噛む食事、鼻呼吸も意識してください。
白い部分が取れない場合や、痛み、出血、しこり、味覚異常が続くときは、歯科医院や口腔外科へ相談しましょう。
千歳烏山駅南口から徒歩30秒のオールインデンタルクリニックでは、患者様一人ひとりのお口の状態を丁寧に確認し、症状に合ったケアや治療方法をご提案します。
セルフケアで改善しない舌苔や舌の痛み、出血などが気になる方は、お気軽にご相談ください。
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この記事を監修した人
日本
口腔外科学会
認定医

木下 恵泉
鶴見大学卒業後、年 町田市民病院に入職。また、赤十字病院や東京医科歯科大学顎顔面外科の勤務を経て、2018年に森の泉歯科の院長に就任。2023年3月に「オールインデンタルクリニック」を開院。
千歳烏山地区の人のために、自分のことのように相手のことを真剣に考え、1人1人に合わせた最善の治療を提案している。
略歴
2005年3月 鶴見大学 卒業
2005~2006年 町田市民病院(歯科口腔外科) 勤務
2006~2007年 武蔵野赤十字病院(歯科口腔外科) 勤務
2007~2011年 東京医科歯科大学顎顔面外科(歯科口腔外科) 勤務
2011~2018年 けやき歯科 勤務
2018年5月 森の泉歯科 院長就任
現在に至る
